優勝後、自身をモチーフにした絵画と記念撮影する錦織圭選手(右)=パルマスデルマール(共同)
優勝後、自身をモチーフにした絵画と記念撮影する錦織圭選手(右)=パルマスデルマール(共同)

 本人の言葉通りに「復帰戦としては、これ以上ない出来」だった。男子テニスの錦織圭選手(33)=ユニクロ、松江市出身=が、2021年10月以来の試合となったカリビアン・オープンで優勝。躍動する姿を待ち望み、安心したファンも多いだろう▼14年の全米オープン準優勝、16年リオデジャネイロ五輪銅メダルを誇る日本のエース。四大大会で名勝負を展開し、本紙特派員も現地取材に当たった。最新の試合情報を伝えようと、紙面制作も日本時間の深夜に及んだことを思い出す▼昨年1月に股関節の手術を受け、右足首の負傷にも見舞われた。苦しいリハビリの日々に一時は現役引退も意識したという。それでも、41歳で引退したロジャー・フェデラーさん(スイス)の雄姿を思い出し、「まだ30(代)後半まで最終的にはできるかな」と思いとどまった▼自己最高4位だった世界ランキングがランク外となって臨んだ今大会。相手の動きを読んだネットプレーやコースを突く正確なショットは、手術や故障の影響を感じさせなかった▼男子テニス界は世代交代の波が押し寄せるが、36歳のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)は先の全仏オープンで優勝。四大大会で単独最多の23勝目を挙げた。帰ってきた日本のエースもランキングを上げ、若手・中堅の前に立ちはだかってほしい。激闘を繰り広げてきたジョコビッチ選手との再戦にも期待が膨らむ。(彦)