生理セミナーで、生理用品の捨て方を話し合う東京都内の生徒たち。性別を問わず生理を学ぶ学校や企業が増えている=2022年9月
生理セミナーで、生理用品の捨て方を話し合う東京都内の生徒たち。性別を問わず生理を学ぶ学校や企業が増えている=2022年9月

 古代伝説の英雄ヤマトタケルは、東国遠征の前に尾張に立ち寄りミヤズヒメと出会うが、恋愛より父に命じられた東国平定を優先させた。大事業を成し遂げ、再訪するとヒメは月経中。それでも結ばれた…▼宴会中に交わした2人の会話を、古事記は相聞歌で記している。編さんされた奈良時代は、月経は大っぴらに語られる話題のようだが、平安時代は様子が変わる。国の規定「貞観式」(871年)で、月経中の女性は宮中の行事に参加してはならないという決まりができた。「月経は穢(けが)れ」とされたのだ▼その概念の素は、隣国から入ってきたようだ。唐の律令制度などを取り入れる過程で女性を差別し抑圧するものとして、月経がある「女性は穢れ」という概念も案出され、一般にも広がったとみられるという▼教えてくれたのは、わが社の新入社員。大学の卒業論文のテーマだったという。1872年の太政官布告で、明治政府は月経は穢れと見なさないことにしたが、新卒の彼女は今も残るタブー視の風潮を疑問視。経緯を知れば打開策が得られると考えたという。「女性活躍推進」が提唱される中、月経に伴う体調不良による労働損失は年間4911億円に上るとの試算もある▼「月経について話しやすい風潮づくりが野望でした」と彼女。不調を我慢すれば大病につながることもある。微力ながら紙面を通じて野望を果たす一助になりたい。(衣)