特定組織に所属せず単独でテロを実行する―。「ローンオフェンダー」によるとみられる凶悪事件が近年相次ぎ、脅威となっている。安倍晋三元首相銃撃(2022年7月)に岸田文雄首相の襲撃(23年4月)…。二つの事件は民主主義の根幹といえる選挙の場で発生、世間を震撼させた。東京では私鉄で乗客が刺傷される事件も続出。19年の京都アニメーション放火殺人は、公判が23年9月にスタートし、被告の男の言動などが注目される。
組織性を背景とせず、疎外感や周囲への不満を抱く個人の危険度をどう判断するのか。警察当局は対策を急ぐが、対応の難しさが指摘され、バランスを欠けば監視社会にもつながりかねない。ローンオフェンダーによるテロは海外でも発生。米国の連邦捜査局(FBI)がまとめた報告書は、社会全体で脅威と向き合う重要性も指摘する。