「いまいましい石」(左)ほか
「いまいましい石」(左)ほか

 道端(みちばた)や河原(かわら)などに落ちている石。そんな石を使って、おいしいスープを作った人たちがいます。それは、『せかい いち おいしいスープ』(マーシャ・ブラウン文・絵、こみや ゆう訳(やく)、岩波書店(いわなみしょてん))に登場する、3人の兵隊たち。へとへとに疲(つか)れて腹(はら)ぺこな3人の兵隊たちは、ある村で食べ物を分けてほしいと村人たちに頼(たの)みます。しかし、村人たちに断(ことわ)られてしまったため、兵隊たちは石のスープを作ることに。物珍(ものめずら)しそうに集まってくる村人たちの前で、石のスープを作る兵隊たち。完成したのは、まるで王さまが食べるような豪華(ごうか)なスープでした。

 石からスープを作る方法は、ちょっと頭を使うこと。兵隊たちがどうやってスープを作ったのか、気になる人は、本を開いて確(たし)かめてみてくださいね。

 もし、皆(みな)さんがゆらゆらと浮(う)かぶ不思議な小石を見つけたら、スープに入れるのはちょっと待って! それはきっと『そらからきたこいし』(しおたに まみこ著(ちょ)、偕成社(かいせいしゃ))です。夜、外を眺(なが)めていたハナの目の前を、光が通り過(す)ぎました。翌朝(よくあさ)、ハナは、庭で地面から浮かぶ小石を見つけます。ハナは、浮かぶ小石を集めることに。集めていくうちに、小石たちがパズルのようにくっついて、一つの石になっていきます。小石が全部集まると、石は青く輝(かがや)きながら夜空へ昇(のぼ)っていきました。

 夜、ハナが部屋から空を見ると、強く輝く青い石の光が見えます。皆さんも、夜空を見上げてみたら、青い石の光を見つけられるかもしれませんよ。

 石の中には、恐(おそ)ろしい力を持つ『いまいましい石』(C・V・オールズバーグ絵と文、村上春樹(むらかみはるき)訳、河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ))も。船に乗って航海(こうかい)をする船員たちは、ある日、小さな島に上陸します。そこで見つけたのは、不思議な石。表面からは光を発し、美しく、見ているだけでたのしい気持ちになるのです。すっかり石に夢中(むちゅう)になる船員たちですが、だんだん様子がおかしくなり、毛むくじゃらの動物に変わってしまいました。嵐(あらし)が来ても、船員たちが仕事をしないため、沈没(ちんぼつ)の危機(きき)に陥(おちい)る船。何とか沈没せずに嵐を乗り越(こ)えましたが、船はもう操縦(そうじゅう)ができず、石も嵐の影響(えいきょう)で光を失います。すると、徐々(じょじょ)に船員たちは元どおりに。無事に他の船に救出(きゅうしゅつ)された後、船長は、石を海の底に沈(しず)めることにしました。

 船員たちを変えた、いまいましい石の正体は、結局謎(なぞ)のまま。一部がガラスのようにつるつるして、重たい石だったというのですが…。皆さんは、この石の正体、何だと思いますか?

 (内田絢子(うちだあやこ)・島根県立大学松江(まつえ)キャンパスおはなしレストランライブラリー司書)