日本海に浮かぶ隠岐諸島で太平洋側の魚が姿を見せている。種類はいくつかあるが、釣り上げた瞬間に脱糞するため「うんこたれ」「ババタレ」との異名を持つイスズミとの遭遇が増えている。多くの釣り人がメジナ(グレ)と似た手応えに期待を高めるが、姿を見た瞬間にガッカリしてすぐにリリースする。あえて持ち帰り、食べてみたら意外にも…
(隠岐支局・鎌田剛)

 

嫌われ者


 イスズミは主に太平洋、特に沖縄や小笠原諸島で魚影が濃いとされる。大型グレの名所の高知では「キツ」と呼ばれて群れるほどになっており、厄介者として扱われる。釣り上げると体表に斑点が現れ、肛門からふんを出す習性が嫌われ者の由縁だ。

 隠岐諸島では「15年前に釣ったことがある」(知夫村の釣り名人)と日本海に迷い込んで来る個体が以前からいたようだが、多くの釣り人にとっては縁遠い存在だった。

 それが昨年夏ごろから沿岸漁業者の定置網に入るようになり、記者も今年9月と10月に30センチ強を釣り上げた。

 9月は西ノ島町の沖磯に出雲から来たベテランの釣り人と渡礁。夜10時過ぎ、結構重い引きのイスズミを釣り上げると、ベテランは「そいつは臭いぞ。すぐに捨てろ」とすごい剣幕で叫んだ。
 「面白いので持って帰って食べてみます」と言うと、ベテランは「好きにすればいいが、臭えのでポリ袋に入れてくれ」と苦い表情を崩さなかった。
 

硬いうろこと鋭い背びれ


 その場ですぐに活け締めにして血抜き。この所作が早かったためか、脱糞することはなかった。翌日夜に自宅で三枚におろし、刺し身と塩焼きにしてみた。

 まず問題は...