八足門前で笛、太鼓を鳴らしながら吉兆幡を掲げる大社中学校の生徒たち=出雲市大社町杵築東、出雲大社
八足門前で笛、太鼓を鳴らしながら吉兆幡を掲げる大社中学校の生徒たち=出雲市大社町杵築東、出雲大社

 出雲市立大社中学校の生徒による新春行事「吉兆神事」が6日、同市大社町杵築東の出雲大社などであった。1~3年生87人や住民計約160人が境内で吉兆幡を掲げ、祝い歌の「大社神謡」を堂々と披露した。

 

 吉兆神事は「吉兆さん」の名で親しまれ、毎年1月3日に町内14地区の住民が出雲大社などで高さ約10メートルの吉兆幡を立て、神謡を奉納する。各地区の少子高齢化の中で担い手不足に危機感を抱いた大社町吉兆神事保存会連絡協議会や大社中PTAなどでつくる支援保存会が2019年に始め、5回目。

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 はちまきを締め、紫色の法被を着た生徒は、笛や太鼓を鳴らしながら、出雲大社の八足門前や北島国造館、千家国造館など5カ所で吉兆幡を掲げ、神謡を歌い上げた。大勢の参拝客は足を止めてカメラやスマートフォンで撮影しながら見守った。

 参加した生徒は6月から月2回、部活終わりに練習を重ね、太鼓、笛、神謡を習得した。リーダーを務めた2年の久谷暖人(はると)さん(14)は「多くの人に見てもらいうれしかった。私たちのような若い世代が引き継ぎ、伝統を残していきたい」と誓った。

 参加生徒の半数以上が1年生で、支援保存会の岩井元康会長(69)は「伝統行事をやってみたいという生徒が増えるのは心強い」と目を細めた。(佐野翔一)