能登半島地震の避難所となっている石川県能登町の中学校の体育館で体を動かす避難者=12日午前
能登半島地震の避難所となっている石川県能登町の中学校の体育館で体を動かす避難者=12日午前

 きょう15日は小正月。旧暦で年の最初の満月に当たる「望(もち)の日」を祝い、正月の行事を締めくくる。松飾りやしめ縄、書き初めを持ち寄って燃やし、年神様を見送る火祭りのトンド焼きが日曜の昨日行われた地区も多かったはずだ▼行事食で小豆がゆを食べる風習もある。小豆のように赤い色は邪気を払い万病を除くと言い伝えられる。トンド焼きで振る舞われるぜんざいなども同じ。ありがたい一椀(わん)で体を温めた方もおられよう▼<小正月寂然として目をつむる>(飯田蛇笏)。無病息災の願いとともに、深い祈りを届けたい先がある。つらく悲しい正月を耐えて過ごし、炊き出しの一杯に涙した人たちに思いをはせる。元日の石川県能登半島を襲った最大震度7の地震発生から2週間がたった▼孤立状態の人や連絡が取れない安否不明者がまだいる。寒く窮屈な避難所では感染症が拡大し、体調が悪化するなどして亡くなる「災害関連死」も増えつつあるという。被災者が求める本当に必要な支援を急がねばならない▼2次避難や広域避難の受け入れで、市営住宅を提供する動きが山陰両県の自治体にも広がっている。古里を離れがたく、遠く知らない土地へ身を寄せる不安はあろうが、東日本大震災で被災地から島根、鳥取に避難した人は、一時300人を超えた。復興を祝える日が来ると信じ、体と心を少しでも休められる場として温かく迎え入れたい。(史)