小学生の時に3・14で計算していた円周率は中学生になると「π(パイ)」を使う。計算が楽になる半面、解答にπを付け忘れる子が増える。息子が先の期末試験で付け忘れて落ち込んでいた。一方で「入試でなくてよかった」とも。きのうは山陰両県の高校入試。ケアレスミスはなかっただろうかと案じる▼こちらの入試のミスは取り返しがつかない。福岡市の私立中学校で公立高校の入学願書を学校側が出し忘れ、生徒3人が志望校を受験できない問題が起きた。担当教諭が締め切りを勘違いし、2時間遅れて提出。中学校の校長が高校とかけ合ったが「例外は認められない」と受理されなかったという▼ミスをしたのは教諭なのに、全く瑕疵(かし)がない中学生が未来の扉を閉ざされる不条理。元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、正当な理由がある場合は例外を認めるのが法の大原則とし「ここは首長の出番」と持論を展開する▼合格発表は終わっているが、橋下氏の言うように政治的決着しか解決策は見いだせないだろう。高校全入運動に取り組んだ蜷川虎三元京都府知事の「15の春は泣かせない」との言葉を思い起こす▼月経に伴う体調不良も追試対象とする動きが出ている。ルールを曲げない平等は大切だが、状況に応じて柔軟に変える公平が優先する寛容な社会でありたい。何とか救えないものか。今のままでは円周率と同じ割り切れない思いしか残らない。(玉)