レギュラーシーズンを終え、会場に一礼する島根スサノオマジックの選手たち=5日、おおきにアリーナ舞洲
レギュラーシーズンを終え、会場に一礼する島根スサノオマジックの選手たち=5日、おおきにアリーナ舞洲

 世に名言は多くあれど、長嶋茂雄さんほどくすりとさせてくれる語録を残した人はいない。「勝負は家に帰って風呂に入るまで分かりません」「新たなる抱負が始まりのスタートであります」「打つと見せかけてヒッティングだ」。野球人ながら、どんなコピーライターをもってしても生み出せないセンスを持ち合わせていた。

 英語を交えた珍言も多かった。個人的なお気に入りは「ワーストはネクストのマザー」。意味不明だが、元の「失敗は成功の母」に比べ、いかに勇気づけてくれることか。最悪な結果は必ず次に生きるという自信を与えてくれる。

 バスケットボール・島根スサノオマジックのメンバーにこの言葉を贈りたい。キーマンの離脱や主力に負担が偏り過ぎた結果、終盤に失速し3季ぶりにチャンピオンシップ進出を逃した。ポール・ヘナレ監督の就任以降、ワーストの成績である。

 安藤誓哉主将が「島根に来て一番成長できないシーズンだった」と振り返るように、責任は選手が最も感じているだろう。現実を受け入れつつ、こんなときこそ「ワーストはネクストのマザー」を思い起こし、チームの熱量をいかに高めるかに腐心してほしい。

 われわれブースターも目の前の結果に一喜一憂せず、少し長い目で見守りたい。名指揮官でもあったミスターは「ウサギとカメならカメでいい。我慢する勇気が重要なんです」との格言も残している。(玉)