7月26日の開幕まで残り80日に迫ったパリ五輪。山陰勢では代表内定はまだながら、3年前の東京大会陸上男子3000メートル障害で7位入賞を果たした浜田市出身の三浦龍司選手(SUBARU)の活躍に期待が高まる▼一方で今回の日本選手団には「異変」が起きている。戦後初めて日本が参加した1952年ヘルシンキ大会以降、定着していた選手団の主将を今後廃止するという。主将と言えばシンボル的存在。56年メルボルン大会では、三浦選手にとって同郷の先輩で「体操の神様」と呼ばれた竹本正男さん(1919~2007年)が務め、団体総合で銀、種目別つり輪、平行棒、鉄棒で銅メダルを獲得した▼とはいえ、相当な重圧だろう。直近の夏季7大会で主将が表彰台に上ったのは、2016年リオデジャネイロ大会レスリング女子の吉田沙保里さんだけ。決勝まで進んだものの、4連覇の快挙は逃した▼今回の選手団副団長で04年アテネ大会の主将を務めた柔道の井上康生さんは、廃止の理由に時代の変化を挙げる。自らは主将指名を光栄と感じた一方、今の選手は「精神的な重圧が自然と増すことで、自分自身のパフォーマンスに影響を及ぼす懸念」があるという▼他国に選手団の主将制度はないらしい。ただでさえかかる重圧なら、少しでも軽いに越したことはない。結団式での決意表明より、日本勢が一人でも多く表彰台に立つ姿を見たい。(健)