「墓石にカエル」というタイトルを付けた5月26日の当欄に多くの反響を頂いた。墓参りに行った際、墓石の「墓」の文字の一部に、小さなアマガエルが身を潜めるようにすっぽり収まっていたという内容▼新聞の当欄に写真は載せていないが、代わりに同日の「読者ふれあいページ」で紹介したこともあり「ほっこりした」「カエルくん、いい場所を見つけたね」といった声のほか、「人は最後はお墓に〝還(かえ)る〟ものだと、しみじみ思った」との感想も。そんな哲学的な意味を込めたつもりはなかったのだが▼同じように「墓石にカエル」を経験した人も多いようだ。ある女性は母親を亡くした後、墓参のたびにカエルの姿を見つけ「もしかしてお母さんが…」と思ったという。当方の場合、2年半前に亡くなった父親だったのだろうか。ただ先日、1カ月ぶりに足を運んだ際は、もう姿はなかった▼墓石にカエルを見つけた11日後、父親の葬儀にも参列してくれた新聞社の仲間が闘病の末に旅立った。56歳だった。駆け出し時代に2人で高校野球鳥取大会の取材を担当。「何か面白いことをやろう」と、走者が三塁を回る瞬間など、ボールが写っていない写真ばかり掲載し続けた。遊び心は今も忘れていない▼訃報を受けて、ライバル紙に追悼文が載った。社内外を問わず慕われていた証しだ。人は最後は「お墓に還る」ものだろうが、あまりに早すぎる。(健)