きのうは窓ガラスをたたきつける激しい雨音で目を覚ました人も多かっただろう。松江市は、意宇川が氾濫する恐れがあるとして、同市八雲町日吉地区の住民に向け、改正災害対策基本法に基づく最高ランクの避難情報「緊急安全確保」を発令。それを伝えるスマートフォンのアラームが鳴り響き、緊迫感に輪を掛けた▼大雨を降らせたのは、活発な梅雨前線の影響で形成された線状降水帯。気象庁は島根県東部、鳥取県中・西部に相次ぎ「顕著な大雨に関する気象情報」を発表した▼積乱雲が連続発生し、風に吹かれて連なることで局地的豪雨をもたらす線状降水帯。ちょうど3年前の西日本豪雨や、九州を中心に被害が出た昨年の豪雨でも確認されたことで、一般にも浸透してきた▼だからこそ気象庁は災害への備えを促すため、6月17日に情報発表の運用を始めた。それからわずか20日。まさかこんなに早く「当事者」になると思っていなかった人も多いだろう。改正災害対策基本法も5月20日に施行されたばかりだ▼梅雨が終わりに近づく6月下旬から7月上旬の豪雨災害は、2017年の九州北部豪雨から5年連続になる。先週末、土石流が起きた静岡県熱海市では今も捜索活動が続く。豪雨災害は毎年発生するものとして備えを整えておくべきなのだろう。災害に「まさか」は通用しない。情報への感度を高め、迅速な避難行動に生かしたい。(健)