インターネットでラジオ番組が聴ける「radiko(ラジコ)」
インターネットでラジオ番組が聴ける「radiko(ラジコ)」

 コロナ禍の頃から寝る時にラジオを聴くようになった。知らない歌やトーク、ニュースを子守歌代わりにしている。ラジオドラマで情景や登場人物を勝手に想像するのが楽しく、流れる情報に気付かされることも多い▼来年で100年を迎えるAM放送が存続の危機を迎えている。送信設備などの負担が少ないFMへ転換する動きが民間放送局で進み、休止して影響を調べる実証実験が始まった。背景には、リスナーの減少で経営が厳しい業界の事情がある▼時代が流れても役割はある。聴いていると、番組の途中でも天気や交通情報、緊急ニュースが流れる。東日本大震災や能登半島地震など大規模災害時に貴重な情報収集の手段となり、被災者に励ましの声を届けた。島根県東部を襲った大雨の際に頼った人もいるだろう▼当方が使っているのはスマートフォンの配信サービス「radiko(ラジコ)」。無料でライブ配信や過去1週間の番組が聴けるが、情報源としてインターネット頼みの危うさを感じる。AM放送は遠くまで電波を飛ばせ、山間部まで届く特性がある。なくなることでネットに疎い人や中山間地域の住民に影響があってはならない▼いつどこで災害が起きてもおかしくない。窓の外で大きな雨音が聞こえると、万が一に備え、乾電池と受信機を買おうと思う。身近な娯楽、非常時に強いメディアとして、ラジオはまだまだ終わらない。(添)