
Q.転んでけが、まずはどう対処すれば?
転んでけがをした時、手当てを焦ってしまいます。まずはどう対処したらいいのでしょうか。
YUBI先生の回答
子どもって、親がどれだけ気を付けていても、必ず転んだり、ぶつけたり、落っこちたりして、けがをしてしまいますよね。特によくあるのは、転んでできるすり傷や、軽い切り傷だと思います。

昔は家庭の傷には「赤チン」と相場が決まっていましたが、環境問題の観点から製造中止になりました。YUBI先生が子どものころ(30年くらい前)は、まずは傷口を消毒して、ガーゼや絆創膏を貼り、その後はなるべく傷をぬらさず、乾燥させるのが一般的でした。でも今はこの方法が見直され、「湿潤療法」が主流となっています。
湿潤療法は自己治癒力を生かした治療で、傷口から出てくるジュクジュクした液体(滲出(しんしゅつ)液)を有効活用するものです。滲出液の中には、傷を治してくれる自己修復細胞がたくさん含まれていることが分かっています。この自己修復細胞は消毒液に弱いため、消毒をすると、自己修復力が落ちてしまいます。
では、具体的にどういう処置をすればいいのでしょうか。まずは傷口を水道水でよく洗います。傷口に付いている砂などの汚れを落とし、さらに細菌なども洗い流します。その上で、消毒はせずに被覆剤を貼付します。
ただし、しばらくして傷の周りが熱を持ってきたり、痛みが増悪したり、くさい臭いがするようになったら、化膿している可能性が高いため、医療機関を受診しましょう。
重ねて、自宅での処置が難しかったり、傷が深い場合など判断に迷ったら、遠慮なく医療機関を受診してくださいね。
ドクター・ユビさん プロフィル
米子市出身。小児科医。2012年に「米子こどもクリニック」を開いた。ユーチューバー、ティックトッカー、保育園や訪問看護ステーションを運営する経営者として働く一方で、8児のパパとして奮闘中。子どもたちに「『口ではなく、背中で語る』男になりたい」と思っている。