12日に山陰両県を襲った豪雨は、各地で土砂崩れや河川の氾濫、建物や道路への浸水といった災害を引き起こした。ただ、どれだけの人が、大雨と落雷が未明から午後まで続くと予想できただろうか。筆者のスマートフォンで表示される民間気象会社の予報は雨は小降りで午前中にやみ、午後から晴れると楽観的な見方だった▼実際には島根半島沖から活発な雨雲が広範囲にかかり続け、松江市中心部では早朝からの大雨と落雷が通勤通学時間帯に重なった。徒歩と自転車が中心の児童生徒は恐怖を感じていたと思う。学校管理者は自治体の避難指示や気象警報にとらわれず、休校や授業開始の繰り下げなどの措置を積極的に決断すべきではなかったか▼地球温暖化によって梅雨前線や夏場のにわか雨が局地化し、予想が難しくなったと指摘される。気象庁によると鳥取東部、島根東部ともに前日午前5時の予報で「降雨の有無」の的中率は8割強にとどまる▼11日夜に気象庁が出した予報では、12日の1時間降水量を「多い所で40ミリ」としていた。実際は境で80・5ミリ、松江60ミリ、出雲57・5ミリ、雲南市掛合で69ミリなど大幅に上回った▼「大雨」の予報でも、晴れになる日はざらにある。12日もそれほど大雨にならなかった地域も少なからずあった。今の風神雷神は、言うなれば神出鬼没ではないか。いつ来ても応対できるよう、物心の備えあるのみだ。(釜)