編み目の幅12㍉以上の籠が付いたじょれん=松江市西浜佐陀町
編み目の幅12㍉以上の籠が付いたじょれん=松江市西浜佐陀町

 シジミの資源量回復を目指し、宍道湖漁業協同組合(松江市袖師町、渡部和夫組合長)が1日から、漁に使うじょれんの籠の編み目を大きくして、小型サイズが採れないようにする。島根県水産技術センターの資源量調査で小型の成貝や未成貝が大きく減少しており、緊急対策として実施する。じょれんの目の見直しは1989年以来35年ぶりとなる。  

 じょれんには爪で掻(か)いて採ったシジミを入れる網籠が付いており、籠の編み目の幅によって漁獲サイズを選別できる。今回は管理規則を変更し、船の動きを利用して掻く「機械掻き」に使うじょれんの編み目の下限を11ミリから12ミリ以上にする。中型以上のサイズに絞って採り、資源量の回復を目指す。機械掻きはシジミ漁に従事する組合員260人のうち約8割が手がける。

 同漁協は、殻の高さが10~12ミリをS▽12~14ミリをM▽14ミリ以上をL-と定める。同漁協が資源管理のために設定している1日の漁獲量(90キロ)を個数換算すると、Sサイズは3万6千個、Mサイズは2万7千個、Lサイズは1万8千個になる。数が多いSサイズの漁獲を抑えることで資源回復を図っていく。

 先行して12ミリのじょれんに切り替えた渡部組合長によると、Sサイズの漁獲量は15%超から5%程度に、40%弱だったMサイズも25%程度に減少したという。

 シジミの取引は各漁師が水産卸会社などと相対取引で行っている。同じ90キロを採る場合、単価の高い大型サイズの割合が増える方が、全体の水揚げ額は増加しやすいという。

 一方、サイズを制限することで、90キロに達するための出漁時間が延び、大型のシジミが育ちにくいエリアの漁師は条件不利になる懸念があるという。

 渡部組合長は新ルールでの漁の効果や課題を検証する考えを示し、大型になるほどシジミの販売単価が高くなることも踏まえ「個体を守りながら宍道湖シジミのブランドの維持、発展につなげたい」と決意を述べた。(多賀芳文)