東京都江東区で見られた「スーパームーン」。右は東京ディズニーランドのシンデレラ城=2023年8月31日
東京都江東区で見られた「スーパームーン」。右は東京ディズニーランドのシンデレラ城=2023年8月31日

 ユーミンこと松任谷由実さんの曲『14番目の月』にこんな歌詞がある。<つぎの夜から欠ける満月より 14番目の月がいちばん好き>。月の満ち欠けは新月を1とすると満月は15番(日)目。<愛の告白をしたら最後 そのとたん終わりが見える>という歌詞もあり、はかない恋愛の成り行きを月の見え方で表すユーミンの世界観に引かれる▼今夜は、その14番目の月が見える。昨夜は旧暦の9月13日に当たる「十三夜」。旧暦8月15日の「中秋の名月(十五夜)」に次いで月がきれいな日とされる。十五夜は中国から伝わり、十三夜は日本独自の風習として平安時代から愛(め)でられた▼「十四夜」ではなく、より月が欠けた「十三夜」としたのは、徒然草の作者吉田兼好が「花は盛りに 月は隈(くま)なきをのみ見るものかは(桜は満開、月は満月の時に見るものか、いやそうではない)」と書いたように、不完全な様や不足した状態に美しさを見いだし、想像することに趣を覚える日本人の感覚からだろう▼とはいえ、完全を求めたい事象もある。きのう公示された衆院選。今の社会情勢や信頼に足りない政治の在り方を踏まえれば、候補者からごまかしや曖昧な主張は聞きたくない。ただ求めてばかりも無責任。民主主義の担い手である有権者こそ、しっかりと考え、判断したい▼ちなみにあすの夜は満月が大きく見えるスーパームーン。今年一番、月が地球に近い。(衣)