2004年10月、25周年を迎えたテレビアニメ「ドラえもん」収録中の大山のぶ代さん(中央)ら声のレギュラー出演者たち=東京・目黒のスタジオ
2004年10月、25周年を迎えたテレビアニメ「ドラえもん」収録中の大山のぶ代さん(中央)ら声のレギュラー出演者たち=東京・目黒のスタジオ

 「ぼく、ドラえもん」-。2005年までの26年間、アニメ『ドラえもん』の主役の声を務め、90歳で旅立った大山のぶ代さん。低くて太く、それでいて愛嬌(あいきょう)のある声は「ドラ声」として親しまれた。おなかの四次元ポケットから「ひみつ道具」を取り出し、のび太を助けるのが定番。時折暴走するのび太をいさめるため、数々の名言を残している

 <どっちも自分が正しいと思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ>。過去に行き、先祖の代わりに戦で手柄を立てようとするのび太にかけた言葉。今も世界で続く紛争の本質を捉えている

 <りっぱすぎる決心は、きっと三日坊主になるからな>。珍しく頑張ろうと決意したのび太に一言。高すぎる目標は長続きしない。まずは小さな目標を達成し、少しずつレベルアップしていく大切さを説いた。何とも深い人生訓だ

 <未来なんてちょっとしたはずみでどんどん変わるから>。未来の結婚相手が大好きなしずかちゃんではないと知り、落ち込むのび太にぽつり。行動一つで未来をよい方向に変えることはできるはずだ

 9年前、映画版35周年のイベントに手紙を寄せた大山さん。思い出を振り返り、最後にこう結んだ。「今の出演者の方々もお体にくれぐれも気を付けて頑張ってもらいたいと思います。それでは、バイバイ!」。きのうが91回目の誕生日だった。ありがとう。そしてバイバイ「ドラ声」。(健)