「私たちは『初老ジャパン』のようなものだから」。東京で自民党総裁選を取材中、石破茂氏を支える陣営幹部が、中堅・ベテランが多い陣営の構成を何度か同じ言葉で例えた
「初老ジャパン」は、パリ五輪で日本馬術界に92年ぶりのメダルをもたらした総合馬術団体メンバーの愛称。古くは40歳の異称で現在は60歳前後で使うという「初老」の国会議員らが支えた石破氏も、馬術の日本チーム同様の粘り強さで総裁選を制した
ただ首相就任後は、衆院解散・総選挙の判断や政治とカネを巡る「裏金問題」への対応で「はて?」と疑問を抱く場面が続く。こちらはNHK連続テレビ小説『虎に翼』で主人公が納得できない場面で発するせりふ。「初老ジャパン」「裏金問題」と並んで、2024年「新語・流行語大賞」の候補30語に選ばれた
その中には流行に疎い当方が聞き慣れない言葉もあった。ネットフリックスの人気ドラマ『地面師たち』で、地主になりすまして土地を勝手に売り払う地面師を演じたピエール瀧さんのせりふ「もうええでしょう」もその一つだ。交渉を早く切り上げたり、ピンチを切り抜けたりする場面で使う常套句(じょうとうく)らしい
先の衆院選で自民党は大敗。「マイナ保険証一本化」など、理解が十分でない政策も待ち受ける。国民から「はて?」と疑問を呈されず、「もうええでしょう」と見限られない政権運営が首相にできるか。(吏)