きょう12月14日は大石内蔵助ら、赤穂浪士四十七士の「討ち入りの日」。<時は元禄十五年師走半ばの十四日 江戸の夜風を震わせて 鳴るは山鹿流の陣太鼓…>。言わずと知れた忠臣蔵の一場面である。
江戸で切腹の命を受けた主君・浅野内匠頭の仇(あだ)討ちを果たそうと、四十七士が決起した。文楽、歌舞伎、講談、テレビドラマなどさまざまな形で、300年近くも語り継がれる。
血なまぐさい話ではないが、現代の「四十七士」にも決起を促したい。47都道府県知事である。所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げを巡る師走の政治攻防。庶民の手取りが上がる話に知事らは反対はしないが、地方自治体の税収減を懸念し、成り行きを見守る。壁が大幅に引き上がり、所得税収が少なくなった結果、同税の一部が原資となる地方交付税が減少する恐れがあるのも、歯切れが悪い一因か。
地方交付税など地方自治体の収入に大きな影響を与えず、減収分を吸収する方法はあるのか。解決は簡単ではないが、大げさに言えば、地方交付税の原資に充てる所得税の割合を規定するルールの改定を含め、やりようはある。「しわ寄せは困る」と言うだけでなく具体策の発信も求めたい。
「103万円の壁」は30年近く変わらず、庶民を苦しめ続けてきた。四十七士が向かうは霞が関か、または自民党税調か。きょうだけは“仇討ち”の実現を期待する。(万)