先日、自転車で走行中、追い越していった自転車から物が飛んできた。拾ってみると、何かを収納する袋。追いかけようとしたが、「脚力」でかなわず見失った。幸い、袋に手がかりがあり、持ち主に手渡すことができた。
通勤路だけでなく、車で走っていても履物やタオル、手袋などが落ちているのをよく目にする。2023年に全国の警察に届けられた現金以外の「落とし物」は2978万7068点。統計が残る1971(昭和46)年以降で最多だった。それまでの最多は、2019年の約2975万点。コロナ禍が明けて、人出が増加したことも要因とみられる。
スマートフォンや関連機器など持って歩く物が増え、行動が活発になると、落としたり、忘れたりする可能性も高まる。23年は現金の拾得物も約228億4568万円で過去最多。キャッシュレス決済が普及する中ではあるが、前年より約17億円増えたという。
落とし物や忘れ物は古今東西変わりがないことのようだ。宿場町として栄えた草津宿本陣(滋賀県草津市)からは、新選組が置き忘れた「きせる入れ」など宿泊客の忘れ物が見つかっている。
忘・新年会がある12月、1月は落とし物が増えるといわれる。ただでさえ慌ただしい年末に大切な物をなくすと、気ぜわしさに拍車をかけてしまう。新年に向けて帰省や旅行で移動する機会も増える。普段と違う行動をする時こそ、ご用心を。(彦)