県民に「1日1回は笑う」ことを促す条例を賛成多数で可決、成立した山形県議会=2024年7月
県民に「1日1回は笑う」ことを促す条例を賛成多数で可決、成立した山形県議会=2024年7月

 新しい年を迎えて三が日が過ぎたが、「初笑い」はあっただろうか。帰省した古里で家族たちと和やかなひとときを楽しんだり、久しぶりに会った同級生と懐かしい話や近況に花を咲かせたり。「爆笑」の文字が躍る新春番組で腹を抱えた人もいるだろう。

 「笑い」は緊張を解きほぐし、人と人の潤滑油になる。1人で笑うのもストレス解消にもってこいだ。医学的にも自然治癒力を高めるなどとして注目され、笑うことで病気予防や治療効果を上げようという取り組みも行われている。

 山形大医学部は以前、笑う頻度と死亡や病気のリスクを分析。ほとんど笑わない人は、よく笑う人に比べて死亡リスクが約2倍だったという。

 この研究結果を踏まえ、山形県では昨年7月、議員提案により「県笑いで健康づくり推進条例」が制定された。全国的に珍しく、「1日1回は笑うなど、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう努める」のが「県民の役割」。事業者には「笑いに満ちた職場環境の整備」が求められている。わが身を振り返ると、大笑いは達成するのが難しそうだ。

 気持ちが張り詰めていたり、焦ったりしていると、つい表情が険しくなってしまう。そんな時、笑って気分転換することは大切だ。心地よい笑いは動き出すエネルギーになる。<笑いのない一日は、無駄な一日だ>。原稿を打つ手を止め、喜劇王チャップリンの言葉をかみしめる。(彦)