2年続きで寂しい盆休みになった。都会と海外で、それぞれ暮らす子どもたちに、また会えない。3歳半になる孫娘とは、もう丸2年以上も一緒に遊んでいない。本当だったら花火や墓参りができたはずなのに、と思う。いつになったら会えることやら▼新型コロナウイルスの制約が恨めしい。菅義偉首相が「切り札」と強調するワクチン接種は、副反応で難儀することもなく無事に2回終わった。これで久々に「旅行に行ける」と思っていたら、五輪開催と歩調を合わせるように感染が急拡大。旅行はまたもお預けだ▼昨年お世話になった「Go To トラベル」の際は、旅行と感染拡大の因果関係は「エビデンス(証拠)がはっきりしない」ということだったのに、今は県境をまたぐ移動の「自粛」を求められる。「どっちが本当?」と聞くのは意地悪だろうか▼「第5波」といわれる今回の爆発的な感染拡大の元凶は、変異株の一つ「デルタ株」で、感染力が強く、水ぼうそう並みだとされる。専門家らは早くから警鐘を鳴らしていたが、五輪開催への風当たりを気にしたのか、場当たり的な対応になってしまった▼問題は、この先いつまで帰省や旅行、会食などを我慢しなければいけないか、である。「二度あることは三度ある」というが、来年の夏も、室生犀星の詩の一節のように<ふるさとは遠きにありて思ふもの>のままでは悲しい。(己)