昨年の夏至の太陽=2024年6月21日午前、松江市内
昨年の夏至の太陽=2024年6月21日午前、松江市内

 今では見かけることがほとんどなくなった水ではないか。太陽で温められた「日なた水」。一昔前は庭にバケツやたらいを出してこしらえ、風呂や行水、掃除や洗濯に使われた。生活史研究家の小泉和子さん(91)の著書『昭和すぐれもの図鑑』にも登場。とりわけ洗濯には役立ったという。

 「たらいに水を張って洗濯物をつけ、直射日光にしばらくあててもう一度洗うと、石鹸(せっけん)だけでは落ちないしみや黄ばみも消えてきれいになった」とある。日光の紫外線に含まれる漂白や殺菌効果によるものだろうが、日光に当て過ぎると色あせの原因にもなり注意も必要だ。

 日なた水は、紫外線によって水道水の残留塩素を分解、蒸発させる効果もあり、金魚などの飼育にも向いているそうだ。とにかく太陽の力でただの水がパワーアップすることに違いはない。

 きょう21日は夏至。太陽の位置が一年で一番高くなり、昼の時間が長い。個人的に数年前から昼休みに会社の屋上に出て、夏至の太陽を浴びている。日なた水ならぬ「日なた人」となりパワーを“充電”している。近年は酷暑や日焼けを嫌って太陽も疎まれがちだが、エアコンの効いた建物にいるばかりでは、余計に具合が悪くなりそうだ。

 そこで提案。6月は国民の祝日がなく、つらくなりがちな月。昼夜の長さが同じになる春分の日や秋分の日のように、夏至を太陽に感謝する休日にしてはどうだろうか。(衣)