スマートフォンを使う高校生=2024年11月、オーストラリア・メルボルン(ロイター=共同)
スマートフォンを使う高校生=2024年11月、オーストラリア・メルボルン(ロイター=共同)

 「泡」という言葉はどこかマイナスのイメージがある。泡を食う、泡(あぶく)銭、泡沫(ほうまつ)候補…。英語も同じで、経済用語のバブルには際限のない欲望が見え隠れする。最近は交流サイト(SNS)利用者が自分好みの情報に囲まれ、考え方が偏る「フィルターバブル」が問題化している。

 SNSの中毒性を排除しようと、各国で子どもの利用を制限する動きが広がる。オーストラリアでは16歳未満の利用を禁止する法律が成立し、欧州連合(EU)欧州委員会も規制を検討している。メンタルヘルスに及ぼす影響への危機感は日本の比ではない。

 日本でも少し心配なデータが明らかになった。小学6年と中学3年の学力変化を見る2024年度の調査で、3年前より全教科で成績が下がった。スマホの長時間化の影響が指摘されている。

 年齢を基準にした規制の効果に科学的根拠がない以上、おいそれと年齢制限に突き進むのは避けたい。ただ、極力依存しない心がけは大切だろう。子ども以上に大人が使ってはいないか。まず大人が望ましい利用を率先垂範し、賢く使うルールを話し合いたい。

 規制の在り方については、国内でも有識者による議論が進む。こちらのポイントは「企業側の責任」。SNS運営会社にアルゴリズム(計算手法)を修正させ、不適切なコンテンツを見せないよう義務付けられるかどうか。丁寧な議論を積み上げ泡沫(うたかた)の対策で終わらないよう願う。(玉)