Xに情報提供の書き込みをする荒川勉さん=米子市祇園町2丁目
Xに情報提供の書き込みをする荒川勉さん=米子市祇園町2丁目
荒川泰子さん
荒川泰子さん

          
Xに情報提供の書き込みをする荒川勉さん=米子市祇園町2丁目

          
荒川泰子さん

 妻に会いたい-。若年性認知症の荒川泰子さん(61)=米子市祇園町2丁目=が行方不明になり、8日で2年になった。夫の勉さん(66)は直後からほぼ毎日、X(旧ツイッター)に情報提供の呼びかけと妻への思いを投稿し続けている。どんなささいなことでも、情報が欲しいとの思いを込める。

 8日午前9時、Xに「認知症の妻が行方不明になりました ご協力お願いします」との定型文の後、「君があの日/歩いた道を/今年も独り/探し行く」と書き込んだ。

 2年前の8月8日早朝、泰子さんは米子市内の自宅を出たまま、行方が分からなくなった。同じ行動を繰り返す特徴がある意味性認知症の診断を受けていた。毎週火曜日の朝は歩いて買い物に出かけていた。この日も火曜日。勉さんはよく行く商業施設に向かったが見つからず、警察に連絡した。

 初めてXに投稿したのは2日後の10日午後3時ごろ。「米子市から松江市に徒歩で向かって現在行方不明になっております」と情報提供を呼びかけた。この日は午後10時までに計13回アップした。「少しでも多くの人の目に触れさせたい」という思いだった。

 その日着ていたシャツ、防犯カメラの動画、「似ている人が歩いていた」という情報、手作りのチラシ…。どんなささいなことでも連絡してほしいと、毎日情報を載せた。

 認知症やその疑いがある行方不明者は2024年、全国で1万8121人に上る。当事者家族が直面する苦しみを分かち合い、互いに支え合える場として25年7月、「認知症行方不明者家族山陰の会」を立ち上げ、山陰両県の当事者の元へ出向く。行方不明でない認知症の人の家族も参加できることにした。「自分のような思いをする人を減らしたい」と自らの経験や適切な介護方法を伝え、予防活動に力を入れる。

 現在も、欠かさず投稿を続ける。泰子さんとの再会を待ち続ける勉さんは「Xの投稿で皆さんからの情報が一件でもいただけるように願っている」と話す。

 山陰の会の問い合わせは荒川さん、電話090(6717)9372。電子メールnys.p0808@gmail.com

(松本ひろ)