点灯された灯籠を眺める子どもたち=浜田市三隅町湊浦、三保まちづくりセンター
点灯された灯籠を眺める子どもたち=浜田市三隅町湊浦、三保まちづくりセンター

 1983年に島根県西部を襲った「58豪雨」の犠牲者を追悼する「石州和紙灯ろうまつり」が10日夜、浜田市三隅町湊浦の三保まちづくりセンターであった。参加者がほのかな明かりを眺めながら、災禍を風化させまいとの意を新たにした。

 センター内の一室には地元住民や保育所、小学校、専門学校などが協力し、石州和紙で作った灯籠670個が並んだ。ヒマワリの花や夏野菜の絵のほか、犠牲者の名前を書き「平和になりますように」とのメッセージを添えた一作もある。

 午後7時に灯籠の中に入れた発光ダイオード(LED)の灯をともすと、来場者が浮かんだ文字や絵を眺めて往時をしのんだ。

 三隅小学校2年の前島凪沙さん(7)は「友達がたくさんいるこの町が好き。このままであってほしい」と願い、主催した同町三保地区まちづくり推進委員会の久保田耕治会長(70)は「安心して住める町をつくって次の世代に引き継ぎたい」と話した。

 83年7月に発生した豪雨の犠牲者は県西部で107人。うち、旧三隅町内で33人いたとされる。

 11日には同市三隅町古市場の石州和紙会館で、一般社団法人島根県発明協会と和紙職人らによる創作教室があり、子どもたちが石州和紙の紙すきや灯籠作りなどを体験した。

(宮廻裕樹)