山陰中央新報社は、新型コロナウイルス対策や地域経済の立て直しを問う衆院選について、23~26日の4日間、島根、鳥取両県内で世論調査を実施した。取材で得た情報を加味して終盤情勢を探った結果、全4小選挙区で、自民党の前職と新人が組織力を背景にリードを保つ。島根1区と鳥取2区の立憲民主党の候補は追い上げを図るが、その他の候補は広がりを欠く。各選挙区で2~4割が態度を決めておらず、流動的な要素を残す。(取材班)
<島根1区>
事実上の与野党一騎打ちの戦いは、自民党の細田博之候補が幅広い年代、地域でリードする。立憲民主党の亀井亜紀子候補は党支持層を手堅くまとめるが、支持政党を持たない層に浸透しきれず伸び悩む。
細田候補は自民支持層の8割近くを固め、支持政党を持たない層へも広がる一方、推薦を受ける公明党の支持層は4割にとどまる。年代別は若年層と高齢層からの支持が際立ち、職業別では正社員・正職員や、その他・年金・無職などにも支持を広げる。
亀井亜候補は立民支持層の9割をまとめるが、野党共闘を組む共産党支持層を固めきれておらず、支持政党を持たない層への浸透も2割にとどまる。年代別は30代からの支持を得る。大票田の松江市を含め、全地域で先行を許す。
無所属の亀井彰子候補は厳しい。
<島根2区>
いずれも新人の3候補による争いは、自民党の高見康裕候補が自民、公明両党の支持層を固め優位に立つ。立憲民主党の山本誉候補は広がりを欠き、共産党の向瀬慎一候補は苦戦。約4割が態度を決めていない。
高見候補は、自民と公明の両支持層の7割をまとめる一方、支持政党を持たない層に浸透しきれていない。年齢別は、70歳以上で半数以上の支持を集めるなど中高年層で他候補を引き離す。農林水産業や自営・自由業からの支持が高く、大票田の出雲市、雲南市、飯南町などでリードする。
山本候補は立民支持層の8割を固め、支持政党を持たない層で高見候補と競り合う。職業別では契約社員・アルバイトで一定の支持を得るものの、若年層への浸透に課題を残す。地域別で見ても、出身地の江津市を含めた各地域で伸び悩む。
向瀬候補は、共産支持層を4割しか固めきれておらず、山本候補に支持が同程度流れている。
<鳥取1区>
自民党の石破茂候補が高い知名度と強固な支持基盤を生かして圧倒する。候補を擁立しなかった立憲民主党など、野党支持層にも浸透。共産党の岡田正和候補は厳しい。
石破候補は年代、職業、地域別の各層で大きくリード。自民、公明両党の支持層の8割以上を固め、支持政党を持たない層からも6割弱の支持を得る。
立民支持層の3割、共産支持層の2割を取り込んでおり、政権と一線を画し、党改革を訴える姿勢が影響しているとみられる。
岡田候補は共産支持層の8割をまとめるが、立民は石破候補と同じ3割にとどまり、広がりを欠いている。
<鳥取2区>
自民党の赤沢亮正候補が一歩リードし、大票田の米子、境港両市で先行する。立憲民主党の湯原俊二候補は党支持層を固めるが、共産党支持層をまとめきれていない。
赤沢候補は自民支持層の8割、推薦を受ける公明党支持層の6割を抑え、年代別の各層で幅広く浸透する。職業別は農林水産業、自営業の支持が際立つ。序盤は横一線だった西伯、日野両郡で引き離し、東伯郡でも先行する。
湯原候補は立民支持層の9割をまとめる。共産支持層は6割弱にとどまり、支持政党を持たない層は赤沢候補と競る。職業別は専業主婦の支持が高く、年代別で20~50代の浸透に課題を残す。
◆立候補者一覧(届け出順、敬称略)
◇島根1区
亀井亜紀子56 立民前(1)
細田 博之77 自民前(10)
亀井 彰子64 無所属新
◇島根2区
向瀬 慎一50 共産新
山本 誉64 立民新
高見 康裕41 自民新
◇鳥取1区
石破 茂64 自民前(11)
岡田 正和39 共産新
◇鳥取2区
赤沢 亮正60 自民前(5)
湯原 俊二58 立民元(1)