選挙に落ちれば「ただの人」。政治家はその宿命を背負う。衆院選後1週間、東京・永田町の国会議員会館内は明暗がくっきり分かれた。初当選や再選し祝いのコチョウランが届く議員事務所の真横の部屋では、仕えた議員の落選で無職となった秘書が書類をひっくり返し、退去の準備をせわしなく進める▼30年にわたり前者であり続ける自民党の細田博之氏(衆院島根1区)がきのうの特別国会で三権の長の衆院議長に就いた。島根選出議員として31年ぶりで、いよいよ議員生活の仕上げに入る▼初当選翌日の1990年2月19日の新聞の見出しは「世代交代の波」。当時島根では、運輸相を務めた父・吉蔵氏以来30年ぶりとなる自民公認の新人だった細田氏も11選を数え、自他共に認める重鎮となった▼いま再び島根に世代交代の波が来ている。細田氏と双璧を成した竹下亘氏の引退、死去により、兄の登元首相から60年以上続いた「竹下」の看板が下り、後任の高見康裕氏は重責を背に高揚した面持ちで国会の門をくぐった▼選挙中、島根政界関係者を取材すると「これから過渡期だ」と誰もが口をそろえた。昭和、平成、令和と脈々と大物国会議員がいて表に裏に利いた政治的配慮が今後薄れる危機感がある。世代交代はいやが応でも進む。国会議員に頼り切るのではなく、一体となって、先々の島根を守っていく政治手法を再構築する時が来た。(築)