チゴケスベヨコエビ(森久拓也さんのツイッターより)
チゴケスベヨコエビ(森久拓也さんのツイッターより)
チゴケスベヨコエビを探す森久拓也さんの息子=松江市内(森久さんのツイッターより)
チゴケスベヨコエビを探す森久拓也さんの息子=松江市内(森久さんのツイッターより)
チゴケスベヨコエビ(森久拓也さんのツイッターより)
チゴケスベヨコエビを探す森久拓也さんの息子=松江市内(森久さんのツイッターより)

 松江市在住の男児が市内の海岸で見つけた体長3ミリほどの甲殻類ヨコエビが新種と分かり「チゴケスベヨコエビ」と名付けられて海外の学術誌のオンライン版で発表された。真っ赤な色が新種の特徴。父親で、海の生き物を撮る写真家の森久拓也さんは「幼い頃に夢だった新種の発見を息子がやってくれた」と喜ぶ。 (中島諒)

 発見は、森久さんの長男(6)が4歳だった2020年4月。家族で釣りに出たが振るわず、岸壁にくっついたコケに似た生物コケムシを取って中を観察していたところ、長男が「なんかおる」と、ごま粒ほどの小さな生物を見つけた。

 自宅で観察して、エビに似た姿をしたヨコエビだと確認。インターネットで論文などを探し、スベヨコエビ科に属する一種ではないかと推測したが同種は見つからず、ヨコエビに詳しい大阪市立自然史博物館外来研究員の有山啓之さんに調査を頼んだ。

 その後、同じ海岸でコケムシの一種チゴケムシの中にいることを突き止めて10個体以上採取。有山さんの研究の結果、新種と分かり今月12日、動物分類学に関するニュージーランドの学術誌「ズータクサ」オンライン版で発表された。有山さんによると、体の構造は他のスベヨコエビ類とほぼ同じという。

 森久さんは13日、ツイッターに「新種でした」と投稿。共感を示す「いいね」は16日午後5時時点で約55万2千件にも上り、祝福の声も多く寄せられた。普段、生き物を探したエピソードを投稿しても、いいねは多くて100件ほど。長男は「ぼく、すごい?」とうれしそうだという。

 森久さんは「良い観察力を生かして自分でもできないことを成し遂げてくれた。ツイッターでも多くの人に祝福してもらい、うれしい」と長男の快挙に目を細めた。