この春、親として初めてPTAに関わる人もいるだろう。PTAは親(ペアレント)と先生(ティーチャー)の会(アソシエーション)。戦後、米国にならってできた▼近年、本来は任意加入なのに、半ば強制になっているのはおかしいとの議論がある。嫌がられる背景には、役員を避けたい心理があるはずだ。家庭事情はさまざまだから気持ちは分かる▼約10年前、小学校のPTA会長を経験した。その学校は当時、会長が後任を一本釣りしていた。それほど親しくはない会長に打診され「何人にも断られた末に自分に来たのだろうか。子ども2人が世話になる学校でもあるし…」と引き受けた▼自分の後任探しでは、誰にも受けてもらえず、やむなく留年。人望のなさを痛感しつつ、翌年に後任が見つかった際には新しい選出方法を決めた。立候補者がない場合、特定の学年で責任を持って選出するやり方に。任期を終えれば確実に解放され、後任決めも背負わされないとなれば少しは受けやすくなると考えた▼役員をやってみると、わが子以外の児童とも触れ合え、保護者や先生と交流できた。会合や研修で他校の役員とも知り合い、刺激を受けた。仕事をしながら苦労もあったはずだが、いい経験ができたとの思いの方が強い。負担を軽くし、多くの親が子どものために参加できるPTAが望ましい。食わず嫌いで関わらないのはもったいない。(輔)