先日開催された大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会は珍しい光景であふれていた。36キロすぎ、先頭争いを繰り広げる山下一貴選手(三菱重工)と浦野雄平選手(富士通)が白い歯を見せ、言葉を交わした▼その直後、2人の後方にいた星岳選手(コニカミノルタ)が仕掛け、初マラソン日本歴代最高となる2時間7分31秒で優勝。2人が油断したわけではなかろうが、勝機を見逃さなかった23歳の新鋭の勝負勘に感服した▼もう一つはゴール地点。5位に入った由良育英高(現鳥取中央育英高)出身の岡本直己選手(中国電力)が、6位の今井正人選手(トヨタ自動車九州)を笑顔で出迎え、タッチを交わした。2人は37歳の大ベテラン。2024年パリ五輪につながる23年秋のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得した▼高校の後輩でもある岡本選手を初めて取材したのは、彼が高校3年の全国都道府県対抗男子駅伝(広島)だった。この大会には中学時代から最多の17回出場し、通算124人抜きの〝追い抜き記録〟を更新中。「ミスター駅伝」の異名を持つ▼マラソンでは実力を出し切れずにいたが、今回は2年前の東京マラソンを33秒上回る2時間8分4秒の自己ベストをマークした。2年後のパリ五輪開催時に不惑を迎えるのに衰えない向上心。年齢に関係なく高みを目指せることを、20歳近く年の離れた後輩から教わった。(健)