今も新型コロナウイルス禍による巣ごもりの影響があるのか、動画投稿サイト・ユーチューブの配信が盛んだ。個人的にプロ野球OBのチャンネルが好きで、特に1980~90年代に活躍した往年の名選手の語りがうれしい。激闘の裏話や打撃論に聞き入る▼一方で驚かされるのが、当時の球界の体育会系体質。あの時代の空気を知り多少の免疫はあるが、それでもグラウンドやベンチ裏で飛ぶ怒号や罵声、体罰の話は時に度を超えていて笑えない。元プロたちの懐かしそうな笑顔を救いに、一種の時代劇や昔話として聞き流すほかない▼軍隊でもないのに厳しさはどこまで必要だろうか。先日、完全試合を達成したロッテの佐々木朗希投手(20)や、米大リーグで昨季MVPを獲得したエンゼルスの大谷翔平選手(27)の活躍を見ると、自発性が大事で強制などいらないと思えるぐらいだ▼スポーツに限らず優れた組織にする上で厳格さや緊張感は欠かせないが、逆に脱力が大事な場面も多い。それを分かっていても引き締めへと向かいがちなのは会議偏重のせいではないだろうか。「楽しくやろう」「肩の力を抜いて」では締まらない空間だ▼今季のプロ野球は「ビッグボス」こと新庄剛志監督(50)率いる日本ハムに注目が集まっている。あの斬新過ぎる手法で好成績を収められるのなら、組織管理における革命ですらある。今は低空飛行。さて半年後は。(板)