真上と南、明るくて目立つ

 夏も近づいたこの時季、よく目立つ二つの星を紹(しょう)介(かい)しましょう。日がすっかり長くなり、午後8時ではまだ空が薄(うす)明るいので、そこから何十分か経(た)ったころに空を見上げてください。

 頭の真上近くにたいへん明るい星が輝(かがや)いています。うしかい座(ざ)のアークトゥルスといいます。星座をつくるすべての星の中でも4番目という明るさで、オレンジがかった色も特(とく)徴(ちょう)的(てき)です。

 そこから南に視(し)線(せん)を下げていくと、また明るい星が目に付きます。こちらは、おとめ座のスピカです。アークトゥルスよりは少し暗いのですが、スピカが真南に差しかかったころには、地平線と真上とのちょうど中間、およそ45度の見やすい高さで光ります。色は白っぽく、多少青みがかって見えるかもしれません。

 ところで、星どうしの並(なら)びは、毎年観察しても変化しません。ですから、星と星を線でつないだ星座というものが、昔から変わらずあるのですね。しかし、きわめて長い時間で見ると、それぞれの星はほんの少しずつ、ばらばらの向きに動いています。

 アークトゥルスはその動きがわりと大きな星で、約2千年前の古代ギリシャ時代の記録と比(くら)べると、今はその位置が満月二つ分以上ずれたことが分かっています。たいした変化ではないと思われるかもしれませんが、何万年も過(す)ぎるとどうなるでしょうか。

 5万年後には、アークトゥルスはスピカのすぐそばにやってくるのです。想(そう)像(ぞう)してください。対(たい)照(しょう)的(てき)な色の二つの星が並ぶ様子は、ずいぶん見ごたえがあるでしょうね。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)