参院議員の登院を待つ国会議事堂=東京・永田町
参院議員の登院を待つ国会議事堂=東京・永田町

 臨時国会がきょう召集される。先月の参院選で国民に選ばれた議員にとって実質的なスタートの日▼選挙中には安倍晋三元首相への銃撃という歴史的事件があった。国の行く末を思い、複雑な思いで登院する議員は少なくないと推察する▼新型コロナウイルス対策や緊迫化する国際情勢を見据えた防衛費の増額、その財源確保策など課題は山積み。防衛費の増額と社会保障費の減額をてんびんにかけるような発言も、与党幹部から飛び出している。世論の反発を見越した上での増税への地ならしか。2025年秋の衆院議員任期満了まで、政府与党から見た「黄金の3年」は試練の-と言い換えていい▼多くの国会議員が言うように、政治は結果だ。事実上たなざらしになっている参院選の合区解消も、この3年で方向性を見いだしてほしい。合区を甘受している現在の状態は、片山善博・前鳥取県知事がかつて指摘したように、特定の地方自治体における住民の権利に関わることなのに、日本国憲法95条に基づく住民投票を実施しない「違憲状態」ではないか。その考え方が妥当か、または司法が言うように選挙区の1票の格差が最優先されるのか、腰を据えて議論してほしい▼先の参院選の投票率は52・05%で、16年以来半数を超えた。ただ、課題解決を先送りする政治がこの3年であらわになれば、底が抜けたような投票率の低下を招きかねない。(万)