寺田稔総務相の更迭について、記者団の取材に応じる岸田文雄首相=20日午後8時11分、首相公邸
寺田稔総務相の更迭について、記者団の取材に応じる岸田文雄首相=20日午後8時11分、首相公邸

 「二度あることは三度ある」というが、ついに3人目の閣僚更迭になった。しかも最初の更迭劇からまだ1カ月弱だ。「辞任ドミノ」が現実化したことで政権へのダメージは避けられそうにない▼岸田文雄首相は20日夜、「政治とカネ」の疑惑が次々に表面化し、国会で追及を受ける寺田稔総務相を更迭した。山際大志郎前経済再生担当相、葉梨康弘前法相の時に、後手と批判されたせいか、今回は前日の会見で「首相として判断したい」と踏み込んでいた▼首相としては自分が迅速に決断したと見せたいのだろうが、国民からすれば「やっと」という感じでしかない。口癖のように「検討」の言葉を使うため「検討使」とやゆされる首相と、国民の多くの間ではタイミングを含め感覚のずれがあるようだ▼特に寺田総務相の場合は、政治資金を所管する役所の責任者でありながら数々の疑惑を指摘されていただけに筋が悪い。おまけに寺田氏は、葉梨氏と同様に首相の派閥・岸田派の所属。任命責任もその分、重いはずだ▼緊迫の度を増す国際情勢に加え、国内では物価の高騰が続き、コロナも第8波が襲う。そんな中で不祥事での閣僚更迭が続けば、いくらおとなしい国民でも「仏の顔も三度」だ。ことわざ辞典の解説には「実際に三度目で気持ちが大きく変わり、本当に怒って見捨てる結果につながりかねない」とある。瀬戸際ですよ、ソーリ。(己)