展示されている三浦紫■(田ヘンに腕のツクリ)の作品の数々=出雲市大社町杵築東、島根県立古代出雲歴史博物館
展示されている三浦紫■(田ヘンに腕のツクリ)の作品の数々=出雲市大社町杵築東、島根県立古代出雲歴史博物館

 【出雲】津和野藩のお抱え絵師・三浦紫■(田ヘンに腕のツクリ)(しえん)(1773~1856年)が描いた鳥や魚の写生図が、出雲市大社町杵築東の島根県立古代出雲歴史博物館で展示されている。羽やうろこなど細部まで忠実に描いたリアリティーあふれる作品が来場者の目を引いている。6月14日まで。

 三浦は鮮烈な彩色と細密な筆法による写生的画法の南蘋(なんぴん)派・宋紫山に学び、和の要素を取り入れ、独自の画風を確立。花鳥画を得意とした。

 会場には同館が県外に流出しているのを知り、昨年入手した約30点のうち7点を展示。タカの仲間のミサゴを描いた作品は羽毛や足のうろこなどがまるで本物のように表現されており、技術の高さがうかがえる。マンボウの絵には「寛政11(1799)年」「飯浦(益田市飯浦町)」の記載があり、益田で当時、マンボウが捕獲されたことを伝える作品でもある。

 担当する同館の岡宏三専門学芸員は「動物ばかりで子どもも楽しめる。地元の絵師の力量を知る機会になればうれしい」と話した。 (月森かな子)