新型コロナウイルスのワクチンを巡り、島根県邑南町の石橋良治町長(72)と同県西ノ島町の升谷健町長(70)が18日、優先対象者のキャンセル分で接種を受けていたと明らかにした。廃棄を避けるためで邑南町は職員21人、西ノ島町では職員1人も取りやめ分で打った。
邑南町によると、4月21日から5月12日の間、優先対象となっている医療従事者と高齢者向けで、22回分のキャンセルが発生。
厚生労働省が廃棄を避けるよう求めていることを受け、作成した余剰分の対応リストに基づき、町コロナ対策本部長の石橋町長を筆頭とする22人に接種した。
町職員21人の内訳は保健師と看護師計14人と、接種会場で業務にあたる7人。
18日に町内で会見した石橋町長は「危機管理に携わる立場の自身や職員が感染し、町民に迷惑をかけてはいけない」と説明。
発表が同日になったことについては、県内外で首長の接種例が相次ぐ中「説明責任を果たす必要があると考えた」と話した。
升谷町長は4月30日、医療従事者2人の都合がつかなかったため、キャンセル分を職員1人と接種。職員は集団接種会場の運営を取り仕切る役割という。
取材に対し、廃棄を避ける目的とした上で「危機管理の陣頭指揮を執る立場で受けた」と理解を求めた。
(糸賀淳也、森山郷雄)