8年前の流行語大賞はよりすぐりの候補が並び、うれしい選考作業になったことだろう。大賞は4作。その中の一つが、視聴率で神懸かった高数値を残し、話題が殺到したドラマ『半沢直樹』の「倍返し」。それと対照的だが、国民の心を掴(つか)んだ言葉が大勢を歓喜へ導いた▼「お・も・て・な・し」。発言者は滝川クリステルさんで、この言葉が東京五輪招致に繋(つな)がったことは有名だ。選手や観客など海外から訪れる人々を意識した言葉ながら海外客受け入れは断念。せっかく広がった「もてなし精神」の後退は告訴ものだ。コロナが憎い▼全国の新聞や放送、広告各社などが次代を話し合う、全日本広告連盟(全広連)の山陰大会がきょう、松江市内で開幕する。当初は600人規模の参加を想定したが、コロナの感染拡大で開催方法を見直した。検査を義務付けた上で、現地参加の人数を縮小。また、オンライン参加を増やした。しかし、もてなし精神を忘れてはしょうがない▼「ご縁をむすび」という松江の新銘菓が人気を集めている。菓子製造の4社が知恵を出し合いコンスタントに販売数を伸ばす▼コロナ禍を過度に恐れ守勢に回るマイナス思考を転換し、新たな顧客獲得に英知を絞らなければなるまい。勝負はこれから。輝く次代の創造へ向け今回の全広連のテーマには、神話ならぬ「広告新話」づくりを掲げている。神話の国で新話を紡ごう。(健)