まなかじゃなくてまんなかです-。中海・宍道湖・大山圏域市長会が「山陰まんなか共和国」を標榜(ひょうぼう)し、こんなキャッチコピーでPR監督にプロ野球ヤクルトの真中(まなか)満監督を任命したことがあった。村上宗隆選手が入団する前年の2017年のこと。語呂合わせと人選の渋さが印象的で記憶に残っている▼認知が広がったかどうかはさておき、〝まんなか〟と言えば、今は子どもだろう。「こどもまんなか」社会の実現を目指し、関連政策の司令塔となるこども家庭庁が今月発足した▼少子化対策だけでなく、児童虐待やいじめ、ヤングケアラーなど課題は多様で山積している。子どもや親たちの意見を聞きながら、一元的に支援していくことに異論を挟む余地はなかろう。むしろ遅すぎたぐらいだ▼要はどう実現するか-。幼稚園や義務教育の権限は文部科学省に残る。財源の捻出を巡っては関係省庁の綱引きも予想される。行政の縦割り排除もさることながら、企業も国民も目に見えて負担が増すとなれば途端に後ずさりし、そっぽを向く。大人たちは、まさか小難しい話でできない理由を探しているわけではあるまい▼庁の発足式に出席した宮城県の高校3年生が語っていた。「言葉だけではなく、行動で示してほしい」。まんなかにいる子どもたちが大人を、政治を見ている。くれぐれも、どっちつかずの〝なまなか(生半)〟となりませぬよう。(史)