勤務先の東京は地震が多い。今月11日の早朝、携帯電話の緊急地震速報で飛び起きた。不安な時間が数秒あった後、一瞬の揺れ。急いでテレビをつけると、千葉県木更津市で震度5強、自宅のある都内は震度3だった▼5日に石川県珠洲市で震度6強を観測してからわずか6日後の激震。22日には伊豆諸島の利島(東京都)で震度5弱を観測、昨夜も取材拠点の国会記者会館で緊急地震速報を耳にした▼携帯電話やテレビが発する不気味な音を聞くたび、30年以内に70%の確率で起こるとされる首都直下型地震をいや応なく意識する。都の被害想定で死者は最大約6100人、帰宅困難者は約453万人に上る▼早朝に揺れた11日の地震で、マンションなどのエレベーター停止は発生当日の確認分だけで約6千台。住んでいる区のホームページには「焦らずに非常用呼び出しボタン等で連絡を取る努力を」とあるが、日中に巻き込まれたら、すぐに助けが来るだろうか。都市災害のリスクが頭をもたげる▼災害のリスク分散の観点からも、新型コロナウイルス感染が落ち着く中での〝東京再一極集中〟が歯がゆい。2022年は東京都で転入者が転出者を上回る「転入超過」が3年ぶりに増加。44万人が都に転入した。今年は関東大震災から100年の節目を迎える。改めて都市災害の課題を考えて、地方へのリスク分散が大胆に進む契機にできないものか。(吏)