中学校の技術で使う木工用具、体育の柔道着、小学校低学年の算数で使うおはじき…。学校でほんの一時期しか使用しない学用品は、保護者の負担か、学校の貸し出しか。読者の疑問の声から取材を進めた。(中日新聞・加藤祥子)

 「木工用具セット 4900円」。4月、愛知県内の中学校で、のこぎりや金づち、さしがねなどの購入用の封筒が1年生に配られた。「授業で数時間しか使わないのでは? 調べてほしい」。購入した50代の父親から本紙「Your Scoop(ユースク)」に投稿があった。

 次男が持ち帰ったプリントには「学校所有の道具を使用して進められるよう計画をしておりますが、家庭でお持ちの道具を使用することも認めております」と書かれていた。その文に続き、購入希望者向けに、業者による販売日時が記されていた。

 学校側はのこぎりとさしがねをそれぞれ20本ほど、金づちを30本ほど所有しており、技術で本棚を作る授業のうち、数こまで使用する。「全員が同時に同じ道具を使わないのでこの数で足りている。購入は強制ではなかった」と教頭。ただ「切れ味がよくないものがある。共用を嫌がる家庭もある」と購入や持参を勧めた理由を話す。「生涯にわたって木工用具を使える子を育てたいとの思いもある」とも付け加えた。

 「隠れ教育費」の共著があり、埼玉県の公立小中学校で20年ほど事務職員を務める柳沢靖明さん(41)は、この案内文に驚く。「例えば家庭科の授業で、...