中学時代、何をしたのかは明確に覚えていないのだが、担任の先生に■(口ヘンに七)られ、「理由を言いなさい」と問われた。自分なりに説明したつもりが、「言い訳をするな」と一層強い口調に。「理由を言ったのに…」と理不尽な思いを抱いたことがある▼「言い訳」は失敗や過失などの事情を説明することと辞書にあるが、「正当化するため」「取り繕うため」という意味もあるようだ。当時の自分の言葉にも、他人のせいにしたような部分があったのだろう▼苦しい言い訳が度々問題になるのが国会議員の受け答え。自身に責任がありそうな案件でも「秘書がやったこと」「誠に遺憾」で受け流す。さらに「記憶にない」となると、言い訳の範疇(はんちゅう)を超え、無責任のそしりを免れない。問題になった時の言葉こそ、本人の向き合い方が如実に表れるのかもしれない▼トラブル続出のマイナンバーカードを巡り、河野太郎デジタル相は「マイナンバー制度とカードが世の中で混乱している」として、カードの名称変更に言及。情報のひも付けミスなどの原因が名称にあるとは思えず、少々強引な言い訳にも聞こえる▼コロナ禍では、さまざまな業界が痛手を受け、小中高生や大学生は授業や部活動が制限された。多くの人が現状を受け止め、コロナを言い訳にせず前を向いて踏ん張ってきた。リーダーや手本となるべき人たちには、言葉により慎重であってほしい。(彦)