9人が立候補した前回の自民党総裁選の討論会。今回は5人が争う見通しだ=2024年9月16日、金沢市
9人が立候補した前回の自民党総裁選の討論会。今回は5人が争う見通しだ=2024年9月16日、金沢市

 選挙と駅伝はある部分似ている。スタートしてからが長く、長時間テレビにくぎ付けとならざるを得ない点だ。団体戦なのでメンバーは入れ替わり、新星エースの活躍や予期せぬブレーキも起こりうる。

 日本人は選挙好きだ。国政選挙が多い国にはスイス、アメリカなどがあるが、アメリカは連邦議会下院・上院と大統領選で20年間に約30回。日本は衆参合わせてその半分ほどで、主要国では三本指に入るほど多い。

 日米ともに地方選挙や住民投票を加えると、さらに投票機会が増える。アメリカ大統領選には長い予備選があり、日本の自民党総裁選も同様に国のリーダー選びに直結するので、前哨戦の方が盛り上がるという共通点もある。

 日本では選挙が終わると熱気は急に冷め、リーダーには孤独な単独走が待っている。石破茂首相も不安定な政権基盤の中で予算を通し、トランプ関税交渉を形にし、コメ価格も抑えた。及第点だと思うのだが、選挙の「連敗責任」を蒸し返されて退陣に至った。

 裏金問題など「連帯責任」はどこへ-。次の選挙への関心がそんな疑問も押し流したように思える。自民党総裁選レースが事実上始まった。既に浮足立つ議員さんたちの国政運営は大丈夫なのか。駅伝のように爽やかな感動はなくても、長いレースを見せられる国民の立場は考えて走ってほしい。身内(党内)選挙が、国政遅滞の隠れ蓑(みの)になってはならないのだ。(裕)