国土交通省の省令改正に伴い、8月1日からバスやタクシー車内での運転手の氏名掲示義務がなくなった。掲示を続けるバス事業者もあり、仙台市交通局の運転手から掲示の取りやめを求める声が河北新報の「読者ともに 特別報道室」に寄せられた。交流サイト(SNS)で個人情報がさらされ、中傷も絶えない状況に「業務に支障が出る」と訴えは切実だ。市交通局は掲示廃止を模索するが、東北の他のバス事業者に取材すると対応が分かれた。
(河北新報・田柳暁)

 「事故を起こしたくせに前と変わらず、荒い運転だった」「アナウンスも何言ってんのか分からない」

 市内のバス愛好家らが開設したとみられる無料通信アプリLINE(ライン)の交流機能「オープンチャット」の書き込みに、市交通局の運転手は「みんな高い意識でハンドルを握っているのに、中傷にさらされている」と憤る。

 交流機能にはバス関連の情報が投稿され、この運転手の実名も登場する。同僚は前職で別のバス会社にいたことが書かれたり、容姿を冷やかされたりしたという。

 市バスは運転手の氏名を書いたアクリル板を運転席の後ろ側に掲示する。運転手は「批判を恐れ、若手や女性が離職してしまう」と一刻も早い対応の必要性を指摘。別の運転手も「投稿内容にはうそもある。別人が運転手になりすました投稿もある」と困惑する。

 市交通局は投稿の実態を重く見て、...