勘からデータ重視に転換し、利益を伸ばす「ゑびや」の外観(小林史明衆院議員の講演資料から)
勘からデータ重視に転換し、利益を伸ばす「ゑびや」の外観(小林史明衆院議員の講演資料から)

 出雲市の出雲大社前をスタートする出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)に続き、きのうは全日本大学駅伝が行われた。名古屋市の熱田神宮と三重県伊勢市の伊勢神宮を結ぶ106・8キロの長丁場。年明けの箱根駅伝へ続く「大学三大駅伝」のたすきは、出雲から伊勢につながったことになる▼伊勢神宮の鳥居前町として発達し「神都」の異名を持つ伊勢市。その歴史的なイメージとは不似合いに思うが、意外にもデジタル社会をけん引する企業があると、元デジタル副大臣で自民党の小林史明衆院議員(広島7区)の講演で知った▼土産物店や和食堂などの商業施設を営む創業111年の老舗「ゑびや」。店頭に定点カメラを据え、商店街の通行客数や来店客数を画像解析カメラや来客予測AIシステムを使って測定。天気予報などのデータを掛け合わせることで「的中率95%超」の来店予測を実現した▼来客数が事前に予測できれば人員の効率的な配置ができ、休日取得率も向上。食材ロス削減にもつながる。2012年からの5年で「売り上げ5倍、利益率10倍」を達成したのもうなずける▼社長は先代の娘婿。ソフトバンクで新規事業開発に携わった経験を持つ。伝統に最先端技術を掛け合わせ、勘からデータ重視へ転換した経営術。そのノウハウを経営支援ツールとして販売する。商いのたすきを伊勢から受け取りたいという声が聞こえてきそうだ。(健)