メバルの煮物。糖化を抑えるには焼いたり揚げたりより、煮たり蒸したりがいいという
メバルの煮物。糖化を抑えるには焼いたり揚げたりより、煮たり蒸したりがいいという

 先週末、気になっていた鍋ぶたの焦げを落とした。重曹水に入れて加熱し、冷ましてから金だわしでこすると新品同様に生き返る。小まめに手入れすればいいものを、こすれば落ちるので放っておきがちだが、体の焦げはそうはいかない▼老化の元凶物質として注目され始めた「終末糖化産物」(AGEs)は、血液中の過剰な糖がタンパク質と結合し、変性してできる。活性酸素による酸化が「体のさび」と言うのに対し「焦げ」と呼ばれるのが糖化だ。AGEsは血管にたまれば動脈硬化、骨なら骨粗しょう症、脳なら認知症と、悪影響を及ぼすことが分かってきた▼この話を聞いたのは、愛用する化粧品メーカーのセミナー。肌の張りや弾力を保つコラーゲンはタンパク質の一種で糖化は美容の大敵。たるみや染み、くすみの一因となり、年齢の割に老けて見える人は、糖化が進んでいるとも言えるという▼鍋の焦げと違うのは、AGEsはいったんできれば消えないことだ。喫煙や飲酒、糖質や脂質の過剰摂取などで増え、人工甘味料はブドウ糖の10倍の速さでAGEsを作るというから注意したい。調理法では100度までの加熱なら増えないため、揚げ物や焼き物を避け、煮たりゆでたりがいいという▼ただ、気にし過ぎはストレスになり、かえって体に悪そうだ。何でもおいしくありがたくいただけば、体が喜ぶと思いたいのは、実りの秋ゆえか。(衣)