11月26日は、「いい(11)チーム(26)の日」だそうです。皆(みな)さんは、何かのチームに所属(しょぞく)していますか? もし、そのチームの監督(かんとく)やコーチが自分の家族だったら、どうでしょう。
『ベーグル・チームの作戦』(E・L・カニグズバーグ作、松永(まつなが)ふみ子訳(やく)、薮内正幸(やぶうちまさゆき)画、岩波(いわなみ)書店(しょてん))の主人公マークは12歳(さい)。そんなに上(じょう)手(ず)ではないものの、リトルリーグで野球をしています。
ある日、マークは、今シーズンは母が自分のチームの監督になると聞かされます。そして、母がコーチに指名したのは、最近母と衝突(しょうとつ)ばかりしている大学生の兄。マークは、「息子と選手」「弟と選手」として家族と向き合うことになってしまい、複雑(ふくざつ)な気持ちです。
最初は、監督が女性(じょせい)? と不満を漏(も)らしていたチームメンバーですが、「陽気なキャプテン」であるマークのママのことも「しごきの軍曹(ぐんそう)」である兄のことも大好きになっていきます。
チームがなくて、やりたいスポーツができない状況(じょうきょう)になってしまったら?
『跳(と)べ、暁(あかつき)!』(藤岡(ふじおか)陽子(ようこ)作、ポプラ社)の暁という女の子は、中2の5月に急に転校することになります。小1からミニバスチームに入り、ずっとバスケットをしてきた暁ですが、母が亡(な)くなり、傷心(しょうしん)から仕事を辞(や)めた父と引っ越(こ)してきたのです。転入した中学校には、男子バスケ部しかありませんでした。
転校初日に声をかけてくれた欣子(きんこ)と仲良くなりますが、クラスには意地悪な女子のグループが幅(はば)を利かせ雰囲気(ふんいき)は最悪。父からは「暁からバスケットを取ったら何も残らないだろ」と言われますが、どうしていいのか分かりません。そんな時「部を立ち上げたら?」と暁の背中(せなか)を押(お)してくれたのは、欣子でした。
勉強はできるけど運動は苦手(にがて)な欣子となんとか女子バスケ部を立ち上げた暁は、そこから一人ずつ最高のチームメイトを見つけていきます。それぞれ生きづらさを抱(かか)えた6人が仲間を思い、心を一つにできるいいチームへと変貌(へんぼう)していく様子に胸(むね)が熱くなります。
チームにはいいリーダーが必要ですが、思いがけずリーダーに選ばれたのは『冒険者(ぼうけんしゃ)たち ガンバと15ひきの仲間』(斎藤(さいとう)惇夫(あつお)作、岩波書店)の町ネズミのガンバ。
床下(ゆかした)の貯蔵穴(ちょぞうあな)でのんきに暮(く)らしていたガンバは、友達から「海に行こう」と誘(さそ)われます。初めて見る海で出会った船乗りネズミたちの冒険談を聞くうちに、自分も冒険してみたいという気持ちが高まっていきました。
そこへ現(あらわ)れたのは血だらけの島ネズミ忠太(ちゅうた)。白イタチのノロイにやられたというのです。助けに行こうと言うガンバに、ノロイの恐(おそ)ろしさを知る船乗りたちは返事をしません。一人でも行く決心をしたガンバですが、島行きの船に現れたのは、昨日去(さ)っていった仲間たち。15匹(ひき)のチームは強敵(きょうてき)ノロイに挑(いど)みます。
物語を通じ、チームは誰(だれ)も役割(やくわり)があり、一人一人が大切なんだと思えることでしょう。
(小田川(おだがわ)美由紀(みゆき)・雲南(うんなん)市立大東(だいとう)中学校 学校司書)