(写真説明)=(吏)※原田君執筆自民党本部に入る世耕弘成参院幹事長=12日午前、東京・永田町
(写真説明)=(吏)※原田君執筆自民党本部に入る世耕弘成参院幹事長=12日午前、東京・永田町

 1年ほど前、取材拠点の国会内で山陰両県関係の国会議員と雑談していた際、こんな声を聞いた。「世耕(弘成)自民党参院幹事長には辞めてもらっては困る」

 参院から衆院へのくら替えが取り沙汰されていた中での発言だった。参院幹事長の続投を願ったのは「鳥取・島根」「徳島・高知」で導入された参院選の合区解消に理解があったため。世耕氏は参院の在り方を与野党が話し合う参院改革協議会の座長を務め、今年3月には党が掲げる憲法改正ではなく、法改正での実現を容認する考えを示唆していた。

 1年後、まさか別の問題で進退を脅かされるとは誰が想像できただろう。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー券問題を巡り、世耕氏側も派閥から販売ノルマを超えた売り上げ1千万円超の環流があったとされ、政治資金収支報告書にも記載はなく、裏金になったとされる。

 世耕氏をはじめ疑惑の目を向けられた同派の議員は今のところ、説明責任を果たそうとする姿勢は感じられない。岸田文雄首相は安倍派の閣僚4人を交代させる方針を固め、同派の副大臣と政務官も代える方向で調整。政権を揺るがす事態になった。

 合区問題は世耕氏が提案した選挙制度を集中的に議論する専門委員会で来年3月以降、議論が本格化する。その時、参院幹事長が兼ねるはずの参院改革協座長は合区解消に理解があるかどうか。行方を注視する。(吏)