クリスマスのきょうは、昭和が始まった日でもある。1926年12月25日、大正天皇が崩御し、皇太子だった裕仁親王が新天皇に即位した。
昭和は戦争と高成長の時代ともいえ20世紀の過半を占める。そんな激動の時代に流行した商品が「昭和レトロ」として若者の人気を集め、復刻が相次いでいる。花柄の食器や包装紙などで、ちょっとダサい感じが平成生まれの感性をくすぐるようだ。
これもレトロの域か。暖房器具のこたつ。中でも掘りごたつは、ほぼ見なくなった。『昭和すぐれもの図鑑』(小泉和子著)によると、一段下げた火入れの周囲に足を置く間を設けた腰かけ式の掘りごたつが広く普及したのは、昭和20年代後半。茶の間に設けられ、食卓にもなった。
それまで行儀が悪いとされたこたつでの食事や腰をかけての食事への抵抗がなくなり、著者は、食卓がちゃぶ台からテーブル化へ移行する地ならしをしたのが掘りごたつだった、と考察する。昭和50年代には、熱源は炭燃料から電気が主流に。そういえば平成に入っても掘られていた親戚宅のこたつが平面の電気式になったとき、失われゆく昭和に寂しさを覚えたものだ。
出雲市内の燃料店は炭燃料のたどんの出荷を続ける。初心者向けに小さな火鉢とのセットもあり、換気に気を付ければ機密性の高い住宅でも使えるという。電気代が上がる中、昭和レトロな暖房器具を使ってみようか。(衣)